がん免疫治療
(ハイブリッドMAT療法)
■体内の免疫細胞について
がん細胞は人間の体の中で毎日5,000個程生まれてきていますが、体が持つ免疫の仕組みで異物と判断され、免疫細胞の攻撃に曝されることで、健康な状態ではがんと診断される大きさになる前に消失します。ただ、何らかの状態で免疫力が落ちて、がん細胞の成長が上回る場合があり、この状態が続くとがんと診断される大きさまで成長してしまいます。
■マクロファージを活性化してがんを克服する
マクロファージは、がんの免疫系をコントロールする司令塔に匹敵する働きをしています。がん組織の微⼩環境を形成する中で、がんの組織は低酸素環境があげられます。がん細胞は低酸素環境に適応すると、抗がん剤や放射線に抵抗性を示すうえに、浸潤・転移・再発の原因とも考えられます。この低酸素状態を克服するのがマクロファージの活性化です。ハイブリッドMAT療法は、人間の持っているマクロファージを活性化し、免疫の働き(自然治癒力)を活用して、がん細胞だけを集中的に攻撃していく治療です。
■M1とM2の2つのマクロファージ
がん患者のほとんどが、体内のリンパ球が減り、免疫力が低下状態にあります。この低下した免疫力を本来機能するマクロファージの状態にもっていき、全体の免疫力を高めることにより、NK細胞や樹状細胞、T細胞など免疫細胞全体が活性化していくことが期待されます。またマクロファージには、2つのタイプ(M1/M2)が存在します。M1(炎症系マクロファージ)とM2(抗炎症系マクロファージ)のバランスを取っていることが正常な状態といえます。ところが、がんになると、このバランスの崩壊が起こります。マクロファージは免疫細胞として、がんと闘うのではなく、逆にがんを助けてしまう細胞(TAM)になってしまうことが示唆されています。
■この治療の目指すところ
M2マクロファージは、腫瘍随伴マクロファージ(TAM)と呼ばれ、腫瘍組織の大部分を占めると、がん細胞がさらに拡大進行し、血管新生、免疫抑制、遠隔転移浸潤などが起こってしまいます。この治療は、そのTAMの進行を抑制して、徹底的にマクロファージを活性することにより、本来持っているマクロファージの機能を正常状態に戻していくことを目指していきます。M1とM2のバランスを調整し、自然免疫と獲得免疫の2つのアプローチで体内の免疫力を強化していきます。
■副作用を伴わない治療、標準治療との併用も可能
ハイブリッドMAT療法は、点滴と毎日の経口摂取により、免疫力を高めていきます。点滴においては、マクロファージの極性化において強いM1表現型を促進および安定化を図ります。M1よりもM2が強く表現される場合があるため、がん細胞の成長が促進され、逆効果のリスクもあります。この治療は安定して、M1とM2のバランスを調整しながら、抗がん剤、放射線のような副作用を伴わない、安全な治療が可能となります。ハイブリッドMAT療法は、人間の持っているマクロファージを活性化し、免疫の働き(自然治癒力)を活用して、がん細胞だけを集中的に攻撃していきます。
■担当医
◆星合敏久(Toshihisa Hoshiai)
医学博士・医師
専門:腫瘍内科、婦人科、一般内科
杏林大学医学部卒業後、杏林大学医学部付属病院、伊勢原協同病院、久我山病院、星合産婦人科病院等を経て、銀座一丁目クリニック院長。父上の末期がんに対して、早くからマクロファージ活性剤を取り入れ、QOLが向上し、死後の病理解剖で転移が壊死していたことがわかり、その効果を確信。マクロファージ活性化する物質、治療法をさらに研究し、できる限り副作用の少ないがん治療を推進。がん治療の選択肢で何が大切なのか、患者さんに寄り添うことを心がけている。余命宣告された患者さんの駆け込み寺的存在。
◆馳澤憲二(Kenji Hasezawa)
医学博士・医師
専門:腫瘍内科、放射線科、一般内科
東京大学医学部を卒業後、東大病院等で研修を積む。活性リンパ球療法の治療に参加し、免疫治療を研究していく。東京大学医科学研究所でがん遺伝子及び免疫の研究の従事、東京大学では初めてγ-knifeの治験を行い、国立病院で初めて乳房温存法温存療法を当初から多段階マルチリーフを使用した方法で行い、今日の緩和ケア病棟の前身も放射線治療病棟に導入。免疫と放射線治療の切り口でステージⅣや末期のがん患者さんへの診療を行っている。あきらめないがん治療を実践。『働きながら「がん」を治そう』(集英社2005年)の著書。
■治療の特長
◆がんの縮小と長期生存のダブル効果が期待 ◆手術、抗がん剤、放射線治療、他の免疫治療の相乗効果も期待 ◆診療後、すぐに治療を開始できます ◆治療効果を測定、数値化して、今後の治療方針の参考にできます ◆副作用はほとんどなく、身体に優しい治療です |
■対象がん
◆血液がん、固形がんとすべてのがんに対応 肺がん、前立腺がん、胃がん、精巣がん、肝臓がん、皮膚がん、食道がん、すい臓がん、膵がん、骨腫瘍、骨肉腫、大腸がん、軟部腫瘍、胆道がん、胆管がん、胆蓑がん、腎(腎細胞)がん、膀胱がん、喉頭がん、子宮頸がん、子宮体がん、外陰がん、頭頸部のがん、卵巣がん、小児がん、乳がん など ※3大治療でも難しい転移・再発したがんのほか、手術が難しい難治性のがんにも対応します。 |
■免疫力検査で治療効果も数値化
治療前と治療後、東京医科歯科大学で開発された免疫力判定検査を実施しております。免疫力の測定には、血液を少量採血し、3~10項目のリンパ球の種類、比率、機能などを調べます。検査結果から免疫年齢も推定いたします。治療により、免疫向上の効果測定を数値化し、今後の治療方針の参考にできます。